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豊富温泉は、利尻・礼文・サロベツ国立公園の玄関口に位置する温泉郷です。道北にある豊富町は、酪農とサロベツ原野、そして日本最北の温泉郷で知られています。この記事では、町がこの湯をどう活かしてきたかを紹介します。あわせて、実際に訪れるときの入浴施設、宿の選び方、行き方、季節の目安もまとめます。
豊富町が温泉を町の柱にした背景
豊富町は酪農が基幹産業の町です。町公式サイトによると、乳牛は約1万1千頭、年間出荷乳量は約6万トンで、全道でも上位に入ります。牛乳は町内の豊富牛乳公社で加工され、セイコーマートの商品として道内外に出ています。
温泉の始まりは大正の末にさかのぼります。1926年、石油の試掘中に地下約960mから天然ガスとともに43度の湯が噴き出したのが最初です。石油を探していて見つかった湯なので、泉質も一風変わっています。
最大の特徴は、世界的にも極めて珍しい油分を含む泉質です。浴室にはほのかな石油の香りが漂い、湯は黄濁しています。油の香りがする湯は、普通なら観光向きとは言いにくいものです。豊富町はこの個性を、湯治の場づくりという形で町の強みにしてきました。
取り組みは施設の整備に表れています。町営のふれあいセンターには、一般客用の浴場とは別に湯治向けの浴場があります。同じ館内には、湯治の相談に乗るコンシェルジュ・デスクと健康相談室も置かれています。
滞在費の面でも工夫がありました。「湯快宿」は、滞在費を抑えたいという乾癬患者の申し入れを受け、町が1999年1月に開設した自炊形式の宿泊施設です。温泉に何日か滞在してもらう前提で、費用を抑えられる宿を町が自ら用意した点が、この町おこしの特徴です。
なお、湯の効き目や症状への影響は人によって違い、この記事では効能の説明をしていません。皮膚の症状がある方は、湯治を決める前に主治医へ相談してください。
ここまでの背景を踏まえ、滞在や準備の参考になる枠をひとつ置いておきます。
豊富温泉を訪れるときの実用情報
入浴は町営のふれあいセンターが基本
日帰りで入るなら、温泉街の中心にあるふれあいセンターが基本の場所です。以下は豊富温泉の公式サイトに載っている内容です。
- 営業時間は10:00〜21:00(最終受付20:30)、定休日は隔週木曜日です。
- 入浴券は大人(中学生以上)510円、子ども(小学生)250円、65歳以上300円です。
- 入浴券1枚で、平日・土日祝を問わず2回まで利用できます。
- 元日と、毎年4月第2週の整備日(5日間)は休みです。年末年始は短縮営業になります。
館内には食堂「味彩」があり、売店もあります。サウナはありません。食堂は平日と土日祝で営業時間が違うため、食事を予定している場合は公式サイトの営業カレンダーで確認しておくと安心です。料金や営業日は変わることがあります。最新情報は公式サイトで確認してください。
湯の香りは好みが分かれます。初めての方は、まず一般客用の浴場で油分を含む湯に触れてみるのが無理のない入り方です。湯治向けの浴場の使い方や滞在日数は、コンシェルジュ・デスクで尋ねられます。受付で一言伝えれば、デスクだけの利用もできます。
宿の選び方は「滞在の長さ」で考える
豊富温泉の宿は、数日から数週間の滞在まで想定したものが目立ちます。泊まり方に合わせて、いくつかのタイプがあります。
- 自炊で費用を抑えたい方:湯快宿は、皮膚疾患の療養のための湯治で2泊以上泊まる方が利用できる自炊形式の宿です。利用条件があるため、事前に内容を確認してください。
- 長めの滞在で生活しやすさを求める方:ウィークリーマンション型の「ウィン」は、各部屋にミニキッチンとバス・トイレが付き、ふれあいセンターまで徒歩3分です。
- 旅館の雰囲気を楽しみたい方:川島旅館は昭和2年に開業した、温泉街でも歴史ある老舗旅館です。
- 食事付きで泊まりたい方:ニュー温泉閣ホテルは、素泊まり6,750円からで、食事は朝食・夕食を別料金で加えます。
泉質は、基本的にはどの宿も同じです。そのため選ぶ基準は、自炊できるか、食事が付くか、何泊するかといった滞在のしかたになります。宿泊料金はシーズンや時期で変わります。予約の前に、各宿の公式サイトで確認してください。
宿を比べる際の候補探しに役立つよう、次の枠を設けています。
行き方と移動の目安
豊富町には空港がなく、最寄りは稚内空港です。羽田空港から稚内空港まで約2時間、新千歳空港からは約1時間です。空港から温泉街までは、車で約50分が目安です。
電車やバスを使う場合は、次のような所要時間です。
- 稚内駅から豊富駅までは普通列車で約50分です。
- 札幌駅から豊富駅までは特急で約4時間30分、旭川駅からは約3時間です。
- 札幌駅前ターミナルから豊富温泉までは、バスで約5時間です。
豊富駅から温泉街へは、沿岸バスで約10分です。ただし、川島旅館の案内ページには、バスの本数が少なく最終は17時台、駅にタクシーも常駐していないとの注意があります。札幌発の高速バスは予約制と案内されています。
駅から宿までの送迎は、宿によって有無が異なります。到着時刻が遅くなりそうなときは、宿に問い合わせておくと安心です。ダイヤは改正されることがあります。時刻や料金は、町公式サイトに載っている各交通機関の案内で最新情報を確認してください。
稚内空港から鉄道を使う場合は、乗り継ぎに注意が必要です。豊富温泉の公式サイトには、JRのダイヤ変更で稚内空港からのアクセスが不便になっているとの案内があります。到着便に合わせて、タクシーやレンタカーも含めて検討するとよいでしょう。
季節の目安と、あわせて訪れたい場所
温泉は通年で利用できますが、周辺の自然を楽しむなら花の時期が合います。北海道庁の花の名所の案内では、サロベツ原生花園のエゾカンゾウは6月中旬〜7月中旬が開花時期です。ミズバショウは5月〜7月、エゾリンドウは8月下旬〜9月下旬とされています。
湿原の玄関口は、サロベツ湿原センターです。原生花園では、70種類以上の花が咲くと紹介されています。花の咲き具合は年によって前後します。訪れる前に、センター(0162-82-3232)で最新の様子を聞いておくと確実です。
温泉に入る日と湿原を歩く日を分けると、無理のない日程になります。サロベツ原野では、夏の花や夕景、遠くに見える利尻山の姿が楽しめると紹介されています。
旅の荷物や現地での過ごし方を考える方に向けて、次の枠も置いています。
