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高知県東部の山あいにある馬路村(うまじむら)は、ゆずを軸にした村づくりで全国に知られています。農林水産省の統計では総人口745人という小さな村です。
この記事では、林業の村がなぜ「ゆずの村」になったのかを振り返ります。あわせて、実際に訪れるときの時期や行き方、買い物の選び方も整理しました。

林業の村が「ゆずの村」になるまで
杉で栄えた村に訪れた転機
馬路村は徳島県との県境に近い安芸郡にあります。隣接する自治体には、安芸市、安田町、北川村のほか、徳島県の那賀町、海陽町が並びます。村の面積の大半は森林で、周りを1,000m級の山々が囲み、森林が96%を占めると紹介されています。
土佐藩の時代から、この地は杉の産地として知られてきました。1960年頃の人口は現在の4倍を超え、谷間の中心街は大いに賑わっていたといいます。年間3,000mm以上の雨と温暖な気候が、日本三大杉美林の「魚梁瀬杉」を育んできました。
ところが昭和中期になると、林業は全国的に衰退の一途をたどります。その代わりの産業として選ばれたのが、昔から村の食卓にあったゆずでした。
ゆず栽培の始まりと、先に進んだ加工への転換
ゆずの本格的な栽培は昭和38年に始まったとされています。森林組合がゆず苗の育成を始めたのも1963年ごろです。
ただ、すぐに成果が出たわけではありません。県内の他の自治体でも同じ動きがあり、供給過剰気味になっていたためです。当初は生食用や果汁の出荷を目指したものの、肥培管理の難しさから売り上げが伸び悩みました。
そこで馬路村農協は加工事業へ踏み出します。昭和61年にぽん酢しょうゆ「ゆずの村」、昭和63年にはちみつ入りゆず飲料「ごっくん馬路村」が発売されました。
商品だけでなく「村」を売るブランディング
成功の理由として、よく挙げられるのが売り方です。ゆずを商品として売るだけでなく、馬路村のイメージを前面に出し、村とセットでブランド化しました。「ゆずの村」という商品名にも、その考え方が表れています。
また、農協の担当者は、村おこしという言葉が生まれる前からゆず産業に参入できたことが大きいと話しています。その結果、ゆず加工品は年商約30億円規模にまで成長したと報じられています。
素材づくりへの姿勢も特徴です。村内のゆず農家は、化学系の農薬や肥料を使わない「馬路村流有機循環農法」に取り組んでいるとされます。商品の安心感がリピーターにつながっていることは、元の記事でも触れたとおりです。
ゆずの収益は村の暮らしにも回っています。農協が経営するスーパーの運営コストの一部をゆずの収益でまかない、村民の利便性向上につなげていると農協側が説明しています。
馬路村を訪ねる・名物を手に入れるための実践ガイド
いつ行く? 収穫期の秋が一番にぎやか
ゆずの香りを楽しむなら、収穫期にあたる秋から初冬が向いています。収穫は例年10月末頃に始まるとされ、村では11月のひと月ほどの間に、村人総出で収穫を進めると紹介されています。この時期は道路沿いのゆず畑がほのかに香り、ゆずを積んだ軽トラックもよく見かけます。
この時期の目玉が「ゆずはじまる祭」です。2026年の開催情報は次のとおりです。
- 開催日は2026年11月1日(日)、時間は9:00〜15:00です。
- 会場は馬路村農協ゆずの森加工場周辺で、入場無料、事前申込は不要です。
- 内容は、ゆず搾り体験、搾りたてゆずの特価販売、「ごっくん馬路村」の給水所、ゆずづくし料理の販売、馬路温泉のゆず風呂1日無料などです。
前回の2025年は、土佐くろしお鉄道ごめん・なはり線の安田駅から無料送迎バスが運行されました。2026年の送迎バスや駐車場の扱いは確認できていません。お出かけ前に、馬路村農協(0887-44-2211)や公式情報で最新の内容を確かめてください。
祭りの日は混み合います。過去には、人口900人弱の村に4000人を超える行楽客が訪れたという記録もあります。早めの時間に着く計画だと動きやすいはずです。
行き方は車が基本。バスは本数を確認
馬路村へは車で行くのが基本です。高知市内から国道55号を約51km、1時間20分ほど走って安田町へ入ります。そこから県道12号を約20km、30分ほど進むと馬路村に着きます。山道が続くため、時間には余裕を見ておくと安心です。
公共交通を使う場合は、安芸市から高知東部交通バスの「馬路」「魚梁瀬」行きに乗ります。馬路・魚梁瀬方面のバスは1日2〜3本ほどとされています。ごめん・なはり線と組み合わせるなら、乗り継ぎの時刻を事前に確認してください。
高知東部交通の公式サイトでは、2026年3月22日改正の時刻表が公開されています。運休や遅延の情報も含め、出発前に最新の案内を見ておくと確実です。
ゆずの森加工場で製造ラインを見学する
村の中心部にある「ゆずの森加工場」では、農協の工場を見学できます。「ごっくん馬路村」の製造や梱包・出荷の様子を、予約不要で見学できます。すぐ外の「ゆずの森直売所」には、ゆず製品や木工品、地元野菜が並びます。
日本遺産のサイトでは、営業時間は9:00〜16:00、料金は無料、定休日は年末年始のみとされています。ただし、日曜・祝日は加工場が稼働していない点には注意が必要です。製造ラインを動いている状態で見たいなら、平日か土曜が向いています。
見学時間は、観光サイトによって8:30〜17:00と載っているものもあります。団体で行く場合は事前申込が必要という案内もあるため、最新情報は馬路村農協の公式サイトで確認してください。
工場を見学したあとは、直売所でその場の空気ごと商品を選べます。自宅でも味わえるように、定番の品を比べながら選んでみてください。
お土産・取り寄せの選び方
馬路村のゆず製品は、大きく分けて調味料、ドリンク、加工食品などがあります。まずは定番の2品を軸に考えると選びやすくなります。
- ぽん酢しょうゆ「ゆずの村」:村の名産として公式サイトでも紹介されている調味料です。鍋だけでなく、焼き魚や冷ややっこにも使えます。
- ごっくん馬路村:はちみつ入りのゆず飲料です。ゆずと蜂蜜と水だけで作られていると、見学記事で紹介されています。
- ゆずこしょうやジャムなど:食卓で使い回しやすく、ギフトにも向きます。
製品の幅は広く、食品から化粧品まで、製造している商品は70種類以上と紹介されています(2021年の記事)。品目は入れ替わることがあるため、現在の取り扱いは公式サイトで見るのが確実です。
ドリンクは冷やしてそのまま飲む人が多く、炭酸水や湯で割る人もいます。贈り物にする場合は、飲み物と調味料を組み合わせると好みが分かれにくいでしょう。
購入方法は現地の直売所のほか、全国向けの出荷もあります。現地で買うなら、旬の野菜や馬路寿司など、その時期ならではのものも見つかります。直売所では野菜や馬路寿司なども紹介されています。
自宅で手軽に取り寄せたい人は、ふるさと納税も選択肢です。返礼品の考え方や選び方は、馬路村のゆずをふるさと納税で選ぶときのポイントにまとめています。
森林鉄道と千本山で、杉の歴史にふれる
馬路村は、ゆずだけでなく杉の歴史を感じられる場所でもあります。1911年(明治44年)には、5つの町村を走る250kmもの森林鉄道が馬路地区に開通したと紹介されています。林業がいかに盛んだったかが伝わります。
当時を伝える体験が、馬路温泉前の「馬路森林鉄道」です。蒸気機関車を再現した車両が走り、約300mのコースを2周する乗車時間は約10分です。営業は日曜・祝日のみで、8月は毎日運行、雨天は運休となっています。料金は大人400円、小人300円です。
奥の魚梁瀬地区にも、復元された森林鉄道があります。魚梁瀬森林鉄道は乗車・運転体験ができ、春は桜、秋は紅葉が楽しめるとされます。営業は日曜・祝日の10:00〜15:30です。こうした森林鉄道の歴史は、日本遺産「森林鉄道から日本一のゆずロードへ」の構成文化財にもなっています。
天然杉の森を歩くなら千本山です。魚梁瀬から車で約30分で登山口に着きます。親子杉までは少し山を登るため、動きやすい服装が勧められています。なお、天然杉の計画伐採は2017年に休止され、現在は保護林に指定されています。
泊まるなら馬路温泉。ゆず風呂の日も
村に泊まるなら、川の畔にある「馬路温泉」が村を代表する宿泊施設で、年間約8千人の宿泊客が訪れると紹介されています。村の中心部にあり、森林鉄道やゆずの森加工場へも移動しやすい場所です。
ゆず風呂の日を狙うのも楽しみ方の一つです。ゆずはじまる祭では、馬路温泉でゆず風呂に無料で入浴できるとされています。冬至の日にもゆず風呂が楽しめると紹介されています。
宿泊料金や空室状況は変わりやすいため、予約の際は馬路温泉の公式案内で確認してください。祭りの日は混むので、泊まりたい場合は早めの手配が向いています。
日帰りか1泊か。モデルプランの考え方
高知市内から車で向かう場合、日帰りも可能です。ゆずの森加工場の見学と直売所を中心に、午前中に着く計画が組みやすいでしょう。
森林鉄道や千本山まで足を延ばすなら、1泊のほうがゆとりがあります。魚梁瀬地区は馬路地区から車で約30分の距離です。森林鉄道は営業日が限られるため、日曜・祝日に合わせると回りやすくなります。
まとめ
馬路村は、衰退した林業の代わりにゆずを選び、加工と村全体のブランド化で知られる存在になりました。町おこしの成果は、工場見学や直売所、温泉、森林鉄道といった形で、旅行者にも開かれています。
訪れるなら、収穫期の秋が香りの面でも行事の面でもにぎやかです。2026年は11月1日に「ゆずはじまる祭」が予定されています。営業時間や交通の最新情報は、公式サイトで確認してから出かけてください。
参考にした情報源
- 馬路村公式ホームページ「村の歴史」 https://vill.umaji.lg.jp/about/history/
- 馬路村公式ホームページ「馬路村へのアクセス」 https://vill.umaji.lg.jp/about/access/
- 農林水産省「わがマチ・わがムラ 高知県馬路村」 https://www.machimura.maff.go.jp/machi/contents/39/306/details.html
- よさこい高知文化祭2026「ゆずはじまる祭り」 https://yosakoi-kochi-bunkasai2026.pref.kochi.lg.jp/event.html?id=236
- 日本遺産ゆずとりんてつ「ゆずの森加工場」 https://yuzuroad.jp/spot/yuzu-no-mori/
- こうち旅ネット「馬路森林鉄道」 https://kochi-tabi.jp/search_spot.html?id=58
- 馬路村ふるさとセンター まかいちょって家「馬路村への行き方」 https://umajimura.jp/access/
- 高知東部交通株式会社 公式ホームページ https://toubukoutuu.jimdofree.com/

[…] 村の取り組みをもう少し詳しく知りたい方は、高知県馬路村のゆずを使った町おこしの記事も参考になります。 […]