全国的に見ても豪雪地帯として知られている北海道の滝川市は、毎年冬になれば10メートルを超える程の雪が積もり辺り一帯が白くなる上に、マイナス20度に届きそうな厳しい寒さに見舞われます。
しかし、例年冬になるとそうした多くの雪と寒さを用いて行われる町おこしがありそれがランタンフェスティバルです。
ランタンと言えばキャンプなどを行う時に灯りとして用いる道具を連想しますが、滝川市の場合は半紙にもよく似た紙を使い四角く形作った物の中にロウソクを入れて灯りと灯すといった事が行われます。
紙を通して外部に漏れ出す光は非常に優しい印象なのですが、さらに優しい雰囲気を高めるきっかけになっているのが紙に描かれている様々なデザインです。
描かれているデザインは市民や近隣の町の人々が思い思いにデザインしたものなので、一つとして同じデザインは無いですし老若男女が施したデザインは全てが特別です。
まさに、市民が全員でアートに取り組んでいるといった印象が強く感じられる祭典なのですが、アートの雰囲気をさらに助長しているのが開催される時間についてです。
例年2月の中旬頃に催され既に15回もの回数を迎えていてすっかり市民はもちろん多くの人々に根付いた催しなのですが、一貫して行われているのは開催される時間が3時間に限られているという事です。
冬至を過ぎてから2ヶ月が経過しているとは言ってもまだ暗くなるのが早いため、本来であればさらに長い時間をかけて開催する事もできるのですが、あえて3時間に限って行っているというのも厳しい冬の中に一瞬現れる幻想的な風景であると人気があります。
また、豪雪地帯という事も相まってランタンを設置する場所は人工的な棚などは使用しておらず、少し高い所に設置する場合には雪によって他の場所よりも若干高くなる所に設置し自然にできた棚として使っています。
そのような雪の棚に小さな子供が手をかけてランタンから漏れる光に見入っている姿は、北の大地で見られる特別な温かみを感じる一時です。
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