地域の特産品を前面に押し出して町おこしをする方法にはさまざまなバリエーションが存在しています。なかでも成功事例として挙げられるものに、高知県馬路村のゆずを使った町おこしが挙げられます。
馬路村は徳島県との県境に接する安芸郡の山間地帯にあり、高知県内の35市町村のなかでも、人口は下から数えて2番目という位置にあります。西山渓谷や魚梁瀬湖などの自然環境には恵まれているものの、産業面では立ち遅れが目立つ地域でした。かつては林業が盛んだったことから、決して貧しい村ではありませんでしたが、時代の流れとともに若者が故郷を後にして都会に出てしまうようになり、衰退傾向が続いていました。
そこで切り札として導入されたのが、地域の特性に合ったゆずの栽培で、昭和30年代後半からの歴史があります。これも実は他の市町村との競合で供給過剰気味になっていたため、他の自治体にはない一工夫を加えたことが、町おこしの成功の鍵となっています。
馬路村のゆず関連の商品のなかでもメインとなるのは、さまざまな料理のアクセントになるポン酢しょうゆ、子どもも大好きなはちみつ入り天然水ジュースのゆずドリンクです。そのほかにもゆずこしょうなどの調味料、美容液・石鹸・ボディーローションなどのゆず化粧品、甘みを加えたシャーベット・ゆず茶・ジャムなどの茶菓類があります。
これらはいずれも加工品で、アイテム数も70品目以上と豊富にあり、単品でもアグレッシブに商品開発を続けることで、さまざまな需要を喚起していることがわかります。また素材も地元産の有機栽培ものを使っているため、安心感やブランドイメージからリピーターを獲得できているところも注目すべきポイントです。
これらの特産品は地元の農協店舗やファーマーズマーケットだけではなく、インターネットを通じて広く全国に販売されています。ホームページで閲覧しながらカートに商品を入れて注文や決済ができるほか、コールセンターも設置して電話でも受付ができるようにしているなど、情報発信力や利便性の高さも重要です。
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